RESEARCH THEME

現在関心のある研究テーマ

 なぜ人は対立してしまうのか。この問いに対して、集団というレベルから研究を行ってきました。個人的には善良で親切な人たちが、時にいがみ合ったり争ったりしてしまうことは、歴史的にも多くあります。このような状況で、人の「こころ」は、何の影響を、どのように受け、いかに行動しているのでしょうか。社会や集団に所属することの心理的過程について明らかにしていくことが私の研究関心です。
 そこから派生し、最近では、居住地域への愛着が人々の行動に与える影響や、地域の景観や「場所」に対する意識と定住/移動の関係についても研究を行っています。「場所」のもつ魅力が、移動(旅行や転居など)することとにどのような影響を与え、人々の満足感を高めるのか、どのような場所づくりを目指すべきなのか考えています。地域の問題を取り扱う中で、安心できる場所についても考えるようになり、子どもの危険認知や安全意識を元にした安全マップの作成なども行っています。安全マップに関しては、GISとWebデータベースを連携させたシステムの開発も行いました。
 また、これらの研究をする中で、新しい調査法・測定法の開発・応用も行ってきました。たとえば写真を用いた調査(写真投影法)や潜在的な態度の測定の可能性についても検討しています。

これまで行ってきた研究・プロジェクト

進行中のプロジェクトリストは”Research Grants & Projects“から

■住民参加型「WEB-GIS地域安全マップ」の作成-写真投影法による危険認知の解明

写真投影法を用いることによって、子どもが言語化し得ない不安や危険の認知を測定し、それをもとに、効果的な地域の安全マップの作成を試みる。その上でWeb-GIS を介した、地域の危険-不安情報を提供するシステムを構築する。

■集団アイデンティティの外延性に着目した集団間関係の研究

集団アイデンティティの強度に加え、そのメンバーシップの分散である外延性を考慮することで、集団間の主観的線引きを明らかにする。非意識下連合テスト(Implicit Association Test)や、集団に流布する言説の数量的解析(テキストマイニング)などを応用的に用いている。

■観光都市地域住民のまちづくり活動の実態とその意識の解明

地域住民が生活の中で作り上げた場(景観や社会関係など)と人生における場の位置づけ、および今後のまちづくりに対する意識、これらの相互作用のダイナミズムを明らかにする。 そのため、写真投影法とライフヒストリーに関する面接調査を併用し、まちの持つ機能と住民のまちづくりに対する意識の関係性について明らかにしていく。

■景観が地域への愛着に与える影響の実証的研究

地域内の景観が、愛着や社会的アイデンティティへ与える影響、および、その発生過程について、写真投影法(Photo Projective Method)を用いた研究を行っている。

■統計情報のグラフィカル表現

◆モザイク・グラフによるクロス集計の分析  1375079899_external_link

モザイクグラフは、クロス集計されたデータを、長方形の面積を用いて各セルの値の大小を示す手法である。また、長方形の色は残差分析の結果を意味しており、クロス集計の結果を視覚的に理解することが出来る。これまでは、Rの”mosaicplot”から実施することが出来たが、Rを使い慣れない人でも実施できるようにExcelで簡単に実施できる環境を作成した。

◆共有集団イメージ法

岡本他(2008)で開発した手法である。等高線マッピング(小杉・藤原, 2004)を応用しマイクロ-マクロ分析を可能にした

■アメリカ社会心理学者の系譜図  1375079899_external_link

社会心理学(藤原武弘編著)」で言及されているアメリカの社会心理学者の系譜図です。しかし、現在、ネット上のものは機能不全を起こしているようです。興味のある方は、元データをお送りすることも出来ます。ご連絡下さい。

■WEBデータベースによる子ども虐待研修の共有システムの構築 Link

(科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)H.23-25年度 研究分担、研究課題番号23653162)